正気かGREEで彼女を作れるなんて思ってんの?

俺は学生時代からの友人の一人にオタ卒業、そして、彼女作るぞ宣言をした。
最初はやっとその気になったかと頷いていた友人も話を続けているうちにアホらしいという顔をしながら
「GREEだか何だか知らないけど、ネットで彼女を作れるなんて正気か?」と突っ込んできた。
そして、「何だったら自分の交際相手に頼んで適当な相手を紹介してやるよ!」と親切心か?からかい半分なのか良く判らない言葉。
その言葉で別に意固地になった訳ではないけれど「いや、それは遠慮しとくよ」のひと言にとどめた。
常識という言葉をからめたら、姿、形も素性も判らない相手を交際相手として探すことは無謀
でも、例えば合コンなどで最初からリアルに会うことも見知らぬもの同士が何かをきっかけに付き合いはじめるという点では同じじゃないか?
見た目はともかく、内面について言えば後になって期待はずれだったということも良く聞く。
もちろん、GREEに限らずネットにからんだ危険な話も聞いたことはあるが、それは友人の紹介でもありえる展開だ。
第一の目的である食事に同行でさえあと一歩のところで叶わなかったがリアルに待ち合わせが出来る女の子が存在しているのだから可能性は充分にある。
それに、身近なところで紹介されたところで、その後の経過まで逐一観察されているようで落ち着かない。
友人達の間で誰と誰がくっついたとか離れたとかの話題提供主になるつもりも無いから、そこはかわした。
この友人に特別な隠し事は無いけど、あの日の前田似の娘については明かす気にならなかった。

GREEで彼女を探す前に自己分析をしてみた 

オタを卒業したなら別にGREEじゃなくても彼女が出来るんじゃない?といわれそうだが、ここだけはこだわった。

別に彼女に対する復讐でもなんでもないけど、ここを抑えておかないと前へ進めない気がした。

GREEでは誰かと接点を持つ時の手段として日記やコミュニティがあるけど、手当たり次第に下手な鉄砲を打つつもりは無いから、まずは自分の自己分析から始めてみた。

プロフィールには『AKBオタでした。』と記入してある。

女の子からすれば「キモッ」と思われるかもしれないが隠しておいてもいずれバレるので、そのままにした。

同じ会社の先輩女性社員から言われたことがある。

「オタなんてやめればスグに彼女が出来るよ!」

たぶん、お世辞かもしれないが悪い気はしなかった。

その会話が出たシチュエーションからすれば少なくとも女性に嫌われるタイプではないと受け取れる事ができるから。

それに、実在する女性と待ち合わせの瞬間まではこぎつけたことを思うと、それなりのコミュニケーションは図れていると思う。

見た目にはどうか?

あの日はイケ面にやられたものの、告白されるままに高校、大学と一定期間交際した相手もいるから多少は何とかなると思う。

長身ではないが175センチは平均的で太ってもいない。

少し自惚れも含めて特別な問題は無いと判断

好きな食べ物はラーメンもだが、あえて言うと嫌いなものは少ない。

趣味のひとつに高校時代から続けてきたギターがある。

これで大丈夫という訳ではないがシナリオのようには行くはずも無いので分析は終了。

結局はありのままで行動開始。

AKBオタを卒業した瞬間

待ち合わせの5分前に確かに彼女は改札を出てきた。

お互いの距離は30メートルくらい離れてはいたが確かに触れ込み通りに前田似の俺好み
クルマを降りて駆け寄ろうとしたその瞬間
先に彼女に声をかけたのは長身で色黒のいかにも健康そうなイケ面野郎だった!

人違いだったのだろうか?

いいや、そうではないことを俺はこの耳ではっきりと認識した。

イケ面野郎は最初に「やあ、待っていたよ!」というありふれたナンパフレーズで接近
彼女は待ち合わせの相手と疑わず「こんにちは思っていた通り素敵な男性でビックリしました。」
なんて返事をしている。

そして、「美味しいラーメンを食べられそうだわ!」なんて相手に次のきっかけを与えてしまったからイケ面はすっかり悟ってしまったようだ
【彼女が顔も知らない相手と初回のデートで一緒にラーメンを食べに行く約束をしているということを】
おいおい冗談じゃないぞ~。

俺は二人の会話を聴いていなかったような振りをして彼女に駆け寄った。
「あっちゃん?」
最初に会った時にはこのように声をかけようと決めていた。

会うまでは名前を確認しないのも面白いと感じたからだ
しかし、それも裏目に出る。

彼女はGREEでのハンネを名乗り俺たち二人を見比べながら明らかに長身のイケ面のほうが好みで俺には関心が無いという素振りで行動に出た。

「じゃあ行きましょうか!」


そういってイケ面の腕にすがりつくように歩き始めたのだ・・
こうなると人目を気にしてなりふりを構っている場合じゃない!

「俺だよ!君とこの1週間コメントを交換してきたコナンシュウ(ハンネ)だよ!」

叫ぶような俺の声も彼女には届かなかったのか?あるいは無視されたのか?

いずれにしても、イケ面にとっては【漁夫の利】とでも言おうか?俺にとっては【とんびに油揚げ・・・】の気持ちでやるせなく
大きな後悔とあまりの不運を呪いながら必ずGREEで彼女を作ってやるというオタク魂ならぬ生来の負けず嫌いに火がつき
この瞬間からAKBオタを卒業して、この日の屈辱を晴らすための行動を開始した。

初回デートはドタキャン?いいえ!もっと悲惨でした。

思い切り話が弾んで、一度会ってみようということになって、待ち合わせ場所も時間もお互いの目印さえもスムーズに決まって。

10分前から待ち構えていたら突然彼女からのメールで「急に都合が悪くなったの・・ゴメンなさい」この様な話はSNSでは珍しくないようだ。

俺はこういう悲劇をどこからか聴いていたのでメールだけの相手をカンタンには信用しない。

ところが実際にコメント交換を1週間も続けていると、なんだか親しみが沸いてくるのも必然
そして、こちらの思惑通りに話を振っていたから一緒にラーメンを食べに行こうということになった。

場所はお互いの住まいからは少し離れた長沼町だがクルマを使えば丁度良いデートコースだし、途中のコースも彼女を不安にさせる要素は無い。

念のために彼女にはネットで地図を確認するように頼んでおいた。

こうする事で行き先が安全である事を彼女にも知っておいて欲しいという気持ちと
名前は知っていてもまだ行ったことの無い街に少し憧れの期待を持って欲しかったから
こういうところで共感できれば長く友達でいられるかもしれないし、それ以上の関係を期待出来るかもしれないと考えた。

とは言え、この時点ではまだ妄想

実際に会ってみて、本当に似ているのかを確かめ、一緒にラーメンを食べてからが始まりだ。

翌週の日曜日、お互いの中間地点にあたる江別の駅で待ち合わせということになり俺は10分前に到着、クルマの中で彼女が出てくるのを待った。

念のためにお互いの目印は決めておいたが服装の他にこれといった特徴は無い。

ただし、目的は一致しているので安心していたが、それが大きな間違いである事に気が付いたときにはあとの祭りだった。

この後に想像もしなかった悲惨な結末が訪れる・・。

前田敦子とラーメンを食べた妄想

前田敦子似という女の子からのコメはその後も届いた。

本来ならば直メを交換すれば手っ取り早いが、こういうときにあせりは禁物。

警戒心が解かれれば向こうから勝手に教えてくれるかもしれないし
こちらのアドレスを教える事にも抵抗はある。

焦らず騒がず、しかし放っとかず
いつか、どこかでこの様なテクニックを読んだ記憶がある。

どうやら彼女は専門学校に通う19歳で俺とは4つ違い
同じ歳よりは少し年上の方が落ち着いた感じで好みとか?

自称AKBオタの俺のどこが落ち着いた感じに思えるのかとの疑問を払いきれないままにやり取りは続いて自然と食べ物の話で盛り上った。

これは、何も考えずにAKBの話題にしてしまうと彼女の機嫌を損ねてしまうかもしれないとの懸念からで
小学生ならば大人の同性にあこがれるということも考えられるが、同世代の場合は相手が芸能人であっても嫉妬されるかもしれないという不安からだった。

そういう意味では食べ物の話題は無難で好き嫌いはあるにせよ何も食べずに生きてきたはずは無いので返答に困る事も無い。

加えて言うと俺はオタというほどではないが無類のラーメン好きで外食のほとんどはラーメンで済ませている。

だからもし、メンバーの誰かと食事をする機会に恵まれたら迷わず一緒にラーメンを食べに行きたいし、出来る事ならこの部分だけは共通した女の子との付き合いを希望したいという思いから話をそちらの方に持って行ったことは否定しない。

コメントを交換しながら前田敦子とラーメンデートをしている妄想に浸った。

念のために説明しておくが俺は決して漫画に出てくるような『ラーメン好きのオタクデブ』ではない!

前田敦子似からのメッセ

GREEのコミュニティに参加したことは前述したが実はどこにするかについてはさんざん迷った。

これぞオタクというものかもしれないが
いわゆるファンクラブとは異質の存在で、なりきりAKBとかいって学芸会のノリの様なものもある。

オタの自分でも「キモッ」と身を震わせたが、まあ趣味は個人の自由なのでご勝手に・・

結局無難にチームの情報交換を出来そうなところに落ち着く。

簡単な自己紹介を済ませて焦らず騒がず待つこと数日
待つというよりはサラリーマンの悲しさか
数日は仕事に追われてログインする事すら出来なかった訳だ。

やっとの思いで仕事を片付け3日ぶりにログインすると自分の書き込みにコメントが付いていた。


「初めまして。札幌在住の前田敦子似です。自称ではなく友人からも良く似ていると言われます。」
「決して芸人のキンタローさんのノリではありません。」
「よろしかったらお友達になりませんか?」
・・・。

こっこれはもしや!

よく言われる『サクラサイト商法』の手口ではあるまいか?

疑り深い俺は単純に信じる気にはなれなかったが万一どころか億一くらいの可能性と割り切りコメ返しをしてみる。


「やあ!初コメありがとう」「あっちゃんは卒業したけれど今でもメンバーの中では一番のお気に入りです。」「札幌は近くなので、ぜひ友達にして下さい。」

半信半疑ながらバーチャルな友達関係に心をときめかせて返事をした事は否定しない。

しかも、それがマジすか以来俺のライフスタイルに影響を与えた前田あっちゃんに似ているとなれば当然のこと。

そんなに似ていたら一緒に歩いていても誰からも注目されて
やっかみ半分で石をぶつけられるかもしれないと妄想に走った。

まだ、本当の名前も知らないのに・・。

紹介文は自称AKBオタク

さて、登録はしたもののGREEの使い方が良くわからず戸惑った・・・

目的はゲームをすることでもないので、なんとなくどんな事が出来るのかを調査。

SNSだけにどこかに掲示板でもあるのだろうか?

とりあえずはホームからプロフィールの設定をやってみた。

念のためにニックネームは暗号めいたものにして万一を考え生年月日は非公開
性別と住まいの地域、血液型は公開した。

そして、自己紹介文には『自称AKBオタです。』と記入した。

これだけの事でもちろんAKBと会えるとは思っていないが同じような仲間からわずかな情報でも手に入れられればという可能性を信じた。

と、ここでもう一度ホームに戻り【芸能人と友達になってみましょう】の文字が目に入る
もっ、もしや  この事か?

藁にもすがる気持ちで探しまくったが出てこないばかりではなく、失礼ながらしばらく話題から遠ざかった顔ぶれの芸能人が多い。

どうやらここではない様なので再度ホームに戻りチェックをすると
【コミュニティで仲間を作ろう】というコーナーが有ることに気が付いた。

今度こその思いで検索をしまくること1時間
確かにオタク共の日記やコミュニティは多数存在しているが
どっどこにAKBはおるんじゃい?

いやいや、不特定多数が集まるようなコミュニティに有名人が登録する可能性は少ないか?

しかし、Twittterなどには多くの芸能人のつぶやきが書き込まれているではないかと思い直し続けた。

わずかな糸口でも見逃がさないのがオタのマインド
とりあえず、いくつかのコミュニティに参加
急いては事を仕損じる
しばらくは様子を見ることにした。

社会人でもAKBオタクですが何か?

人は俺のことをAKBオタと呼ぶ。

すでに学校は卒業しているが彼女も作らずひたすらAKBの毎日だからだ。

もちろん、通勤定期入れにはAKBの写真が入っているし
部屋の中はAKBのポスターだらけ
当然のように今も『ギンガムチェック♪』を聴きながらタイピングをしている。


最初にはまったのは2年前
当時は学生だったがマジすか学園を見ていて、すっかりとりこになってしまった。

それまでにも歌を聴いたことはあるものの
のめりこむまでには至らず
マジすか以来は情報をかき集めてコンサートにも出かける。

同僚や先輩が飲みに誘ってくれても俺はそちらを優先する。

オタという呼ばれ方にも嫌な感じはしない
いや、むしろ喜んでいるくらいで
可能なら誰にも負けないAKBオタクを目指そうとしているくらいだ!

そんな自分がいつものようにネットサーフィンをしていてAKBに出会えるという書き込みに目がとまった。

どうやらGREEに登録したらその可能性が大きいのだとか?

元々、【会いに行けるアイドル】というコンセプトで誕生したものの多忙なせいか、そうそうたやすくは会えない。

たとえメールだけでも直接もらえるものなら飛び上がって喜びたいところだ。

どの様に会えるのかまでは書き込まれていないが、わずかなチャンスでも逃さないのが真のオタ
このカキコミはGREEにリンクしていたので迷わずクリック
登録も無料だし有名なSNSだから安心だろうと思ったが、どうやらPCからの登録にもケータイが要るらしい。

ドメイン指定受信だの面倒くさい難関を乗り越えて登録完了!

ところで、どうやってAKBに会えるんだ?

GREEでは教えてくれないのでググって見たら
AKB48の野望にステージファイター・・・って?
オイオイ、まさかこのゲームのことじゃないだろうな!

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